防災教育の導入を検討している個人、学校、または地域団体にとって、具体的な申し込み手順や必要書類をあらかじめ把握しておくことは、スムーズな導入に欠かせません。特に近年は、文部科学省や各自治体の推奨を受けて、防災教育スイッチの導入が全国的に広がりを見せていますが、実際の申し込みには対象者ごとに異なる手続きや準備が必要となります。
まず理解しておくべきは、防災教育スイッチが一律の申し込み方法ではないという点です。個人で参加可能なワークショップ型のプログラムと、学校や自治体単位で導入する包括的な年間プログラムでは、申し込みフローも用意する書類も大きく異なります。ここでは対象別に申し込みの流れを明確にし、各ステップで必要な情報や提出書類を一覧にまとめて解説していきます。
対象者別の申し込みフローと提出書類
対象 |
主な導入形態 |
申し込み方法 |
提出書類 |
備考 |
個人(保護者・市民) |
イベント参加・オンライン学習 |
専用フォームまたは自治体窓口 |
参加申込書(電子申請対応) |
地域主催の開催予定により変動 |
学校(小・中・高等学校) |
年間プログラム導入・出前授業 |
教育委員会経由または主催団体へ |
導入申請書、年間予定表、教員連絡先 |
カリキュラム計画との整合性が求められる |
団体(PTA・自治体・NPO等) |
講師派遣型研修・地域防災ワークショップ |
協会窓口またはオンライン受付 |
実施計画書、会場使用許可証、予算書 |
会場条件や参加人数に応じて事前審査あり |
個人が参加する形式では、防災教育スイッチを活用した1日限定のワークショップや、オンライン講座などが主流となっており、申し込みはウェブサイト上のフォームで完結するケースが増えています。参加者は開催日時、対象年齢、必要機材(パソコン、筆記用具など)を確認したうえで申し込みを行い、指定のメールアドレスに参加確定の通知が届きます。現在、多くの講座でPDF形式の教材が事前に配布され、予習も可能になっています。
一方、学校で本格的に導入する場合は、年度ごとのカリキュラムと整合性を取る必要があるため、より詳細な資料の提出が求められます。まずは学校長または防災担当教員が窓口となり、年間で何回の授業を実施したいのか、どの学年を対象とするのか、教員は何名関与するのかを明記した導入申請書を提出します。その後、実施内容の調整が入り、教育委員会の承認を経て導入が決定されるのが一般的な流れです。
提出書類の内容には、具体的なスケジュールや授業案のほか、担当教員の配置、使用する教材一覧、校内での避難訓練日程なども含まれます。特に近年は、災害別(地震・水害・火災など)の指導テーマに沿った単元構成を求められるケースが多く、テンプレート化された申請フォーマットが教育委員会のウェブサイトなどで提供されています。
団体による導入では、地域住民を対象とした出前授業型の研修やワークショップが多く開催されています。たとえば、自治会やNPOが主催して地元小学校や公民館を会場に実施するケースでは、講師派遣に関する申し込みが必要です。この際、実施希望日の数カ月前から申請を行い、会場の収容人数や防災設備の有無、参加予定者の年齢層などを詳細に記載した実施計画書が求められます。講師や教材の準備には時間を要するため、申請はできるだけ早めに行うことが推奨されています。
導入形態によっては、以下のようなサポート制度も活用可能です。
支援制度・申請時の補足事項
制度名 |
内容 |
対象 |
利用条件 |
講師派遣費用補助制度 |
地域講師の交通費・謝金の補助 |
自治体・NPO等 |
年度内2回まで、所定書類の提出必須 |
教材配布補助 |
副読本・ワークシートの印刷支援 |
学校・教育委員会 |
希望部数を明記し事前申請 |
保護者向け講座助成 |
オンライン配信の講座運営補助 |
PTA・保護者団体 |
視聴記録と報告書の提出が必要 |
スライド教材テンプレート配布 |
授業用スライド資料の無償提供 |
教職員 |
防災教育スイッチ登録校に限る |